キャンペーン最初の集会「貧困から考える死刑」を開催

 
日付:  日曜日, 2008-12-14
 
 12月14日(日)午後1時30分から東京神田駿河台の明治大学リバティタワー1階のリバティホールで、「死刑に異議あり!」キャンペーン主催の集会「人の使い捨て 命の使い捨て ~貧困から考える死刑~」が開催されました。氷雨降るあいにくの天候の中、150人が参加しました。
081214集会の全景
 第1部はフィリピン人権情報センターのトレーシー・パビコさんの講演でした。フィリピンではアキノ政権下の1987年にいったん死刑を廃止していましたが、憲法で死刑を復活する余地を残していたため、ラモス政権下の1994に死刑が復活し、2006年に再び死刑を廃止しました。トレーシーさんは2006年の死刑廃止に至る運動を中心的にコーディネートしてきた人で、この日も、スクリーンの映像を交えて近世以降のフィリピンの死刑制度の歴史と2006年に至る死刑廃止運動の状況を、分かりやすく話してくれました。
 第1部の最後には、会場にかけつけてくれた元死刑囚の免田栄さん、参議院議員の福島瑞穂さんからも激励をあいさつを頂きました。
 休憩をはさんで、湯浅誠さん、雨宮処凛さん、ピーター・バラカンさん、辛淑玉さんのビデオメッセージが放映され、それぞれの観点から死刑廃止を求める理由を語られました。
 第2部は、映像ジャーナリストで「Lifers」の監督でもある坂上香さんがアメリカの死刑の中心を映像を交えて問題提起をされ、その後、貧困問題に取り組むNPO法人POSSE代表の今野晴貴さんとトレーシー・パビコさんも加わって、「貧困から考えた死刑」をテーマにシンポジウムが展開されました。秋葉原事件の社会的背景などを含めて、議論は多岐にわたりましたが、「犯罪の背景的な原因に貧困や差別や不平等がある」という従来からの視点に加えて、貧困や不平等が階層的・世代的に固定化しつつある社会状況や刑罰制度と司法手続自体に潜む不平等にも話が及び、「貧困を罰する刑罰制度」という新たな視点が浮かび上がってきました。
 この日の集会は、「反貧困、反差別、平和、青年、女性などあらゆる分野に死刑廃止の声を拡げていく」ということをコンセプトとして7月から開始した「死刑に異議あり!」キャンペーンの最初の集会でしたが、私たちの進むべき方向がさらに具体的な形で見えてきたように思います。