2010年の死刑判決と死刑執行~死刑執行国はさらに孤立化

 アムネスティ・インターナショナルは、3月下旬に、世界の死刑の状況をまと

めた報告書「2010年の死刑判決と死刑執行」を発表しました。

アムネスティの調査では、2010年に、世界で少なくとも23カ国で死刑が執行さ
れ、少なくとも527人が処刑されたとみられています。ただし、この数字には
中国で処刑された人々の数は含まれていません。中国は、2010年も数千人を処
刑したとみられますが、依然として死刑の適用については国家機密とされてい
ます。

近年、世界的には死刑廃止の潮流が強まりつつありますが、2010年もその傾向
が続いています。1990年代半ばには、死刑執行国は毎年平均40カ国ほどでした
が、近年は20カ国前後と明確に減少しています。2010年にG20加盟国の中で死刑
を執行した国は、中国、日本、サウジアラビア、米国の4カ国だけです。そのう
ち、米国では、執行する州が南部のいくつかの州に集中する傾向を示し、死刑
を廃止する州が着実に増加しています。また、全米で、死刑の執行数がピーク
時の90年代後半と比べ半分以下にまで減少しました。

さらに2010年には、アフリカのガボンで死刑が廃止され、レバノン、マリ、韓
国などの国々で死刑廃止法案が国会に提案されました(2010年末の時点でいず
れも審議中)。モンゴルでは、昨年1月に大統領が死刑執行停止を正式に宣言し、
現在、死刑廃止法案が議会で審議されています。

死刑のない世界に向かって、国際社会は着実に前進しています。

※報告書「2010年の死刑判決と死刑執行」(抜粋・日本語訳)は、下記のサイト
 から入手できます。
http://www.amnesty.or.jp/modules/mydownloads/visit.php?cid=20&lid=171