柴田幸範さんを偲んで

 「死刑に異議あり!」キャンペーン事務局としてキャンペーン発足当初から

積極的に関わってくださった、「死刑を止めよう」宗教者ネットワーク事務

局、イエズス会社会司牧センター職員の柴田幸範さんが2011824日に亡

くなられました。「死刑を止めよう」宗教者ネットワークの高橋浩子さんよ

り追悼文を寄せていただきました。

 

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去年の今頃、柴田さんは直腸がんの手術を受けていたはず。退院後は肝臓と

肺のがんのための治療をすることになって、抗がん剤の経験者として、同郷

の先輩として、「前向きにケッパレ!」と言い続けた。落語をきいて、とか、

あっかーい花なんかを観るといいよ、とか。昨秋、次女がニュージーランド

から帰国の際、お土産に持ってきたプロポリスの未開封の瓶を持って行って、

免疫力を養いなさい、なんて。彼は、人から言われるまでもなく前向きに

ケッパッタ!「死刑をとめよう」宗教者ネットワークの事務局を担当して3

年半余りの月日を、社会司牧センターの仕事と同じように誠実に、こなしな

がら、手術後は抗がん剤治療を受けながら前向きにケッパッタ!彼の活動に

向き合う姿勢は、決して激しすぎず、淡々とこなしているようだけど熱心で、

偏らず公正。幾度か、死刑廃止についてカトリック関係の集まりで話をして

いたけれど、その要旨を読むと、冷静で押しつけがましくなくて、それでい

て説得力がある。ああ、やっぱり、柴田さん、早すぎるよ。キリスト者とし

て、それぞれの信仰を持つ仲間と共に、精いっぱい、「生きなおすことを赦

す社会の実現に向けて」針路をとっていましたね。でも主は柴田さんに休息

を与えられた。これからは、若い人たちに、舵を委ねることにしよう。柴田

さんが居ない、と考えるのではなく彼が遺した課題を引き継いでいく。死刑

を必要としない港(日本)まで。

 

高橋浩子(「死刑をとめよう」宗教者ネットワーク)